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「任意」とは、思うままに、自由に、というような意味です。よって、債務(借金)の任意整理とは、貸し手と借り手が、残債務や返済方法について、自由に話し合って決める(和解する、示談する)ということだといえます。
ただ、「自由に」と言っても、おのずから限度があります。たとえば、10万円ある借金額をゼロにすることは不可能でしょう。また、30万円程度の借金をたとえば毎月1000円ずつ300回、つまり12年半で返すという合意をするのもなかなか難しいでしょう。
「自由に」ということですので、特に決まりがあるわけではないのですが、弁護士や司法書士が任意整理をする場合、通常、次を基準にします。
・約定利率がグレーゾーン金利だった場合、必ず利息制限法所定の制限利率で引直し計算をした債務額を基準とする。
・上記債務額を元金とし、和解時までの利息や損害金(経過利息)は付けない。
・分割払いの場合は、元金額を単に分割回数で割ったものを毎回の支払額とし、将来利息は付けない。
なお、分割払いの回数ですが、これは大方の貸金業者が最長5年、60回払いまでしか認めない傾向にあり、多くの場合、60回以下の回数で和解せざるをえませんが、司法書士安部高樹は、債務額が多い場合に、60回を超える回数で支払うという和解を成立させたこともあります。
任意整理によって和解または示談できた場合は、和解書、示談書を貸し手と借り手(または代理人)との間で作成し、後は和解内容、示談内容どおりに支払っていくことになります。
まず、なぜ「自己」破産かというと、これは債務者が自分で申し立てるからです。破産にはこのほか債権者が申し立てるものもあり、実はこちらのほうが破産のスタンダードなタイプであるともいわれ、そこから債務者が自分で申し立てるタイプをわざわざ「自己破産」と呼ぶともいわれています。
破産とは簡単にいえば、その人の借金額が収入や財産を上回っており、借金の全部を支払うことができないことを裁判所が認定してくれる制度といえます。裁判所から「破産手続開始決定」というものが出されたら、そういう認定がされたといえます。
財産がある程度ある場合は、破産管財人が選任され、借金の一部をその財産で支払うことになり、債権者が複数いるときは、債権額の比率によって各債権者に支払うことになります。
ただ、財産が少額の場合は、債権者への支払いを全くしないで済むケースが多いといえます。このような場合には、破産管財人は選任されず、「同時廃止」事件となることも少なくありません。
注意していただきたいのは、「破産」とは上記のように借金が払えないということを裁判所が認定してくれる制度ですが、これだけでは、借金は帳消しにはなりません。「免責許可」というものをもらってはじめて、借金を払わなくともよい状態になるのです。
免責許可とならないケースはたとえば次のようなことに該当する場合です。
・前の免責許可決定が確定してから7年経たないうちに免責許可の申立をした。
・ギャンブルや浪費が原因で、財産を著しく減少させたり、過大な借金をした。
・破産手続の開始を遅らせる目的で、著しく不利な条件で借金をしたり、クレジットカードで商品を買ってそれを換金した。
(免責不許可となる事由はこのほかにもいくつもあります)
「個人再生」とはいわば俗称で、正式には、民事再生法に定められた「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」を指します。ともに、債務額が5000万円以下の場合(住宅ローン特則を使用する場合は、住宅ローンの債務額を除いた金額)に、法律で定められた最低弁済額以上の債務を原則として3年間で支払えば、残りは免除されるというものです。
最低弁済額は、次のようになります。
・基準債権総額が100万円未満ーーその金額全額
・基準債権総額が100万円以上500万円未満ーー100万円
・基準債権総額が500万円以上1500万円未満ーー基準債権総額の5分の1
・基準債権総額が1500万円以上3000万円以下ーー300万円
・基準債権総額が3000万円超5000万円以下ーー基準債権総額の10分の1
「基準債権総額」とは、大ざっぱに言って、担保なしの借金の元金と再生手続開始までの利息・損害金の合計額とお考えください。
ただ、常に上記の計算で求められる金額を返済すればいいかというとそうではありません。小規模個人再生、給与所得者等再生ともに、「清算価値」(自分の財産の総額とお考えください)が上記の計算による金額より大きい場合、その清算価値分の金額は返さなければならないのです。
たとえば、基準債権総額が300万円、清算価値が450万円の場合、返済総額は450万円となります。
また、給与所得者等再生の場合は、上記に加えて、「可処分所得の2年分」の金額も弁済総額に関係してきます。法律で定められた計算によって求めた可処分所得の2年分の合計額が上記の最低弁済額や精算価値よりも多い場合、可処分所得の2年分の金額を弁済しなければなりません。
個人再生の大きな特徴として、住宅ローンがある場合に、住宅を失うことなく借金を圧縮できるということが挙げられます。これは、再生計画に、「住宅資金特別条項」というものを盛り込むことによって、住宅ローンをいわば特別扱いし、住宅ローンについては従来どおり支払ったり、住宅ローンの支払いが遅れていて損害金などをどう支払うかなどを決めてそのとおり支払ったりすれば、住宅の競売などを避けることができるというものです。
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